東京庭園美術館開館30周年記念展「アール・デコと古典主義」の解説セミナーを
ミュージアム・1999・ロアラ・ブッシュで3回にわたって開催しました。
2回(1月26日、30日)は三越旅倶楽部主催
2回(1月26日、30日)は三越旅倶楽部主催
東京庭園美術館「旧朝香宮邸」
1933年に当時最先端のアール・デコ様式で建てられた朝香宮邸は
紆余曲折を経たのち1983年から東京都所有の有形文化財となり
東京庭園美術館として使用されています。
1925年パリで開催されたアール・デコ博会場
アール・デコ博を見学される朝香宮様ご夫妻
この博覧会でアール・デコ様式にふれ、感動したご夫妻は
新築予定の自邸にアール・デコ様式を取り入れることを決意。
パヴィリオンの1つ「フランス大使の公邸」
数多く立ち並んだパヴィリオンの中でも「フランス大使公邸」は人気の高いものでした。
朝香宮ご夫妻はこのパヴィリオンが気に入り、このパヴィリオンを担当したインテリア・デザイナー アンリーラパン氏に
新築予定の邸宅の主要な7室のデザインを依頼しました。
アンリー・ラパン氏
アンリー・ラパンはルネ・ラリックに玄関扉用としてガラスのパネルを依頼
ルネ・ラリックのガラスのパネルが嵌められた正面玄関扉。
大広間のシャンデリア(ルネ・ラリック作)
こちらはアール・デコ博のパヴィリオン「フランス大使公邸」の書斎のデザイン画です。
これは、世界ではじめてガラスのブロックを住宅に応用したパリの「ガラスの家」の
デザイナー ピエール・シャロー氏のデザインです。
朝香の宮殿下の書斎
朝香宮邸の書斎はパヴィリオン「フランス大使の公邸」書斎をモデルにしたものです。
家具も展示されています。1919年にポール・フォローによって製作された
大変美しい豪華なイスと化粧台です。
このデザインはネオクラシック様式の影響が色濃くみられます。
こちらはレイモン・シュブ作 テーブルとイス
当時の朝香の宮邸にあった家具ではないよう(?)ですが
現在は東京庭園美術館蔵となっています。
こちらは国立西洋美術館蔵のブロンズ像習作「弓を引くヘラクレス」像です。
ロダンの弟子だったエミール・ブールデルの作品です。
現在、国立西洋美術館の前の広場にロダンの「考える人」と一緒に飾られています。
エミール・ブルーデルはアール・デコ時代に活躍した彫刻家です。古典に題材をとりながらも
新しいアール・デコの感覚で表現されています。力強くダイナッミックな作品です。
こちらはレイモン・ドラマール作 エジプトスエズ運河防衛記念碑のための習作です。
実際の作品は大変巨大なモニュメントです。1930年にスエズ運河脇に設置されました。
下はその写真です。右横に写っている木と比べれば大きさが分かります。
アルフレッド・ジャニオ作
アルフレッド・ジャニオもアール・デコ時代に活躍した彫刻家です。
この妖精像はルネッサンス時代のフランス人彫刻家ジャン・グージョンへの
オマージュ作品となっています。
髪型や顔の表情はルネッサンス風ですが女性とは思えない
筋骨隆々とした腕はアール・デコ時代の新しい表現です。
かれの作品はアメリカ・ニューヨークのロックフェラーセンタの壁面を飾っています。
アール・デコ時代の古典的主題を素朴に力強く表現する彫刻像は
特に新興国のモーニュメントとして歓迎されさまざまな国から注文がきました。