2015年4月5日日曜日

東京庭園美術館開館30周年記念展覧会「アール・デコ様式と古典主義」見学会

東京庭園美術館開館30周年記念展「アール・デコと古典主義」の解説セミナーを
ミュージアム・1999・ロアラ・ブッシュで3回にわたって開催しました。



2回(1月26日、30日)は三越旅倶楽部主催
最終回(4月1日)は「プレシャスモーメント」主催








東京庭園美術館「旧朝香宮邸」

1933年に当時最先端のアール・デコ様式で建てられた朝香宮邸は
紆余曲折を経たのち1983年から東京都所有の有形文化財となり
東京庭園美術館として使用されています。



1925年パリで開催されたアール・デコ博会場 



  アール・デコ博を見学される朝香宮様ご夫妻
                   
 この博覧会でアール・デコ様式にふれ、感動したご夫妻は
  新築予定の自邸にアール・デコ様式を取り入れることを決意。




 パヴィリオンの1つ「フランス大使の公邸」

数多く立ち並んだパヴィリオンの中でも「フランス大使公邸」は人気の高いものでした。
朝香宮ご夫妻はこのパヴィリオンが気に入り、このパヴィリオンを担当したインテリア・デザイナー アンリーラパン氏に
新築予定の邸宅の主要な7室のデザインを依頼しました。




アンリー・ラパン氏


アンリー・ラパンはルネ・ラリックに玄関扉用としてガラスのパネルを依頼


ルネ・ラリックのガラスのパネルが嵌められた正面玄関扉。

大広間のシャンデリア(ルネ・ラリック作)





  



こちらはアール・デコ博のパヴィリオン「フランス大使公邸」の書斎のデザイン画です。
これは、世界ではじめてガラスのブロックを住宅に応用したパリの「ガラスの家」の
デザイナー ピエール・シャロー氏のデザインです。



朝香の宮殿下の書斎

朝香宮邸の書斎はパヴィリオン「フランス大使の公邸」書斎をモデルにしたものです。





家具も展示されています。1919年にポール・フォローによって製作された
大変美しい豪華なイスと化粧台です。

このデザインはネオクラシック様式の影響が色濃くみられます。


こちらはレイモン・シュブ作 テーブルとイス



当時の朝香の宮邸にあった家具ではないよう(?)ですが
現在は東京庭園美術館蔵となっています。




こちらは国立西洋美術館蔵のブロンズ像習作「弓を引くヘラクレス」像です。
ロダンの弟子だったエミール・ブールデルの作品です。



現在、国立西洋美術館の前の広場にロダンの「考える人」と一緒に飾られています。
エミール・ブルーデルはアール・デコ時代に活躍した彫刻家です。古典に題材をとりながらも
新しいアール・デコの感覚で表現されています。力強くダイナッミックな作品です。




こちらはレイモン・ドラマール作 エジプトスエズ運河防衛記念碑のための習作です。



実際の作品は大変巨大なモニュメントです。1930年にスエズ運河脇に設置されました。
下はその写真です。右横に写っている木と比べれば大きさが分かります。




アルフレッド・ジャニオ作
アルフレッド・ジャニオもアール・デコ時代に活躍した彫刻家です。
この妖精像はルネッサンス時代のフランス人彫刻家ジャン・グージョンへの
オマージュ作品となっています。

髪型や顔の表情はルネッサンス風ですが女性とは思えない
筋骨隆々とした腕はアール・デコ時代の新しい表現です。



かれの作品はアメリカ・ニューヨークのロックフェラーセンタの壁面を飾っています。
アール・デコ時代の古典的主題を素朴に力強く表現する彫刻像は
特に新興国のモーニュメントとして歓迎されさまざまな国から注文がきました。





2015年3月29日日曜日

フランス首相公邸見学記



フランスでは9月の「文化遺産の日」には
一般公開されていない歴史的建造物の数々が公開されます。
現在フランス首相公邸として使用されている Matignon館 を見学しました。
館は1725年Matignon伯爵によって、子息のValentinois 公爵への贈り物として
建てられました。その後ナポレオン1世が購入したり、オーストリア帝国が
購入してオーストリア大使公邸として使用されたこともありましたが
現在はフランス政府の所有、フランス首相官邸として使用されています。
こちらはヴァーレンヌ通りに面した正門です。外からは高い塀と門で遮られ中を
垣間見ることはできません。



こちらは門から中にはいったところです。


右側の入り口からはいるとすぐに階段があります。壁面は大理石のように見えますが
一部は描かれたもののようにも見えます?





この部屋はナポレオン1世の時代の家具が置かれています。
典型的なアンピール様式の家具です。テーブルには美しい石の象嵌細工が
施され真ん中にはナポレオンのNのイニシャルが象嵌されています。


天井にはナポレオン1世の時代に好まれた
クリスタルガラス製、滝型シャンデリアが飾られています。
シャンデリアを吊るすための長いチェーンに
クリスタル・ガラスのビーズが通されているのですが
その様子が滝のように見えることから名づけられました。


首相の執務室
居心地のよさそうな部屋ですね。


最先端の設備が施されているようなデスク


会議室


会議室にはひときわ大きなタペストリーが飾られていました。
この部屋はピンクがメインカラーです。


こちらの部屋は黄色がメインカラーです。
天井にはクリスタル・ガラスのマリア・テレージア型のシャンデリアが
つりさげられています。



こちらは青のサロン。壁面には青で彩色された絵がはめ込まれ
ロココ様式のソファーや椅子には
青色のダマスク織りの絹地が張られています。



こちらは赤のサロン



官邸の裏には青々とした芝生の美しい庭がひろがっていました。



手入れの行き届いた花壇には色とりどりの花が植えられています。
通りからは想像できない広い庭がありました。

こちらは裏側から見た首相官邸です。




2015年3月23日月曜日

プレシャスモーメント2015年新年会@レストラン旧小笠原伯爵邸

2015年2月6日プレシャスモーメント主催新年会をレストラン小笠原伯爵邸で開きました。
セミナーは日本の近代建築の父、「ジョサイア・コンドルと3人の弟子達」。

小笠原伯爵邸は1927年(昭和2年)小笠原長幹伯爵の住宅としてジョサイア・コンドルの弟子曽禰達蔵と中條精一郎によって建てられました。



セミナーとランチのあとはヴァイオリニスト硲美穂子さんとピアニスト寿々子さんの
コンサートを愉しみました。










設計は曽禰達蔵&中條精一郎の曽禰中條建築事務所が担当
曽禰達蔵の師であるジョサイア・コンドルは日本人に初めて近代建築(西洋建築)の技術を教えた人物であり
鹿鳴館を建てた人物として有名です。
曽禰達蔵はジョサイア・コンドルを師として仰ぎ、彼が亡くなるまで一緒に働いていました。
ジョサイア・コンドルが日本に来た時は24歳。英国では1度も建物を建てた経験はありませんでしたが
当時英国で、独特なイスラム風建築で有名だったウイリアム・バージスの建築事務所に勤めていました。
ジョサイア・コンドルはその影響を受け建物にイスラム風のデザインを採用したりしています。
曽禰達蔵も小笠原伯爵邸でイスラム風デザインの喫煙室を設けています。





喫煙室には曽禰達蔵の建築家としてのこだわりが特に感じられます。
窓枠、壁面、柱、ドアーに施された精緻な金細工には驚かされます。
彼が幕末につかえていた唐津藩の本家にあたる小笠原家の邸宅だからでしょうか?
この喫煙室の外壁に彼はサインを残しています。

曽禰達蔵が建物にサインをしたのはこの建物だけだそうです。


曽禰達蔵のサインが
ある外壁